特集

〈番外編〉「新型コロナ・心の処方箋」その1

前回「浮気疑惑の処方箋②」の続きはお休みさせていただき、今回は特別編として、「新型コロナ・心の処方箋」をお送りします。
主婦・ユキコが、ママ友から寄せられる、今ならではの不安・不満について、キタオに次々と投げかけます。「それぞれの悩み、どうしたら乗り越えられますか?」
仏教を学ぶキタオは、どのように応えるのでしょう。


在宅勤務のダンナにブチ切れ…妻の負担が激増!?

●R.A.さん(42歳・専業主婦)
在宅勤務になり毎日家にいるダンナが、私のストレスを増大させます。
早起きして満員電車に乗って、上司の圧に耐え、毎日のように残業している普段の日々よりも、今の方がずっと楽なはずですよね!?
それなのに、仕事開始のギリギリまで寝ているし、仕事していない時間はスマホゲームばかり。平日は一応、電話やパソコンでちょこちょこ仕事をしているようだし、私が専業主婦だということもあって、もちろん家事は一切しない。
「これからzoomで会議だから、子どもたち静かにさせて!」と言われ、家にいるしかないのにみんなで音を出さないよう気を使って過ごさなきゃならない。
一日三度の食事だって、子どもたちと私だけなら簡単に済ませちゃうこともできるけど、味にうるさいダンナがいるから、毎回手抜きできなくて大変。
その間にも、息子の中学校の双方向webホームルーム、夜には塾のweb授業のフォロー。
小学生の娘には学校からの課題をやらせ、それだけでは足りないので、市がサイトで提供している学習支援の課題に一緒に取り組む。
毎朝毎晩、家族みんなに検温を促し、食材の買い出しから帰れば念入りに手洗い、消毒。洗濯も毎日山積み。

仕方がないと分かってはいても、ダンナが「は〜〜〜〜疲れる」だの「家じゃ仕事になんねぇよ」だのと愚痴を言い、挙句の果てに「会社の仲間とオンライン飲み会するから酒と見栄えのいいつまみ用意してくんない?」
もうブチギレ寸前です(怒)

外では頑張り屋のグータラ夫=しっかり奥さんの証

・・・かなり大変な毎日のようですね(笑)。コロナ禍で自宅待機の日々が続く現状において、妻であり母であるあなたの負担たるや相当なものでしょうね。一日中家にいる子供の世話だけでも大変なのに、普段は夜にしかいないはずの夫までもが朝から家に常駐するとなれば、これはもう推して知るべしです。そこで、あなたがいま抱えているご不満にお答えしたいと思います。

まず、普段は出勤のため早起きするご主人が、在宅勤務になったとたん仕事開始のギリギリまで寝ているということですが、これはズバリご主人の体がたまりにたまった「睡眠負債」を返済しようとしているんです。睡眠時間が6時間以下の人は、7〜8時間の人より死亡率が2.4倍も高くなるという研究結果をご存じですか? 睡眠負債によって、がんやうつ、数十年先の認知症のリスクが高まるということも報告されています。現代人の慢性的な睡眠不足はコロナ禍ほどのインパクトはないものの、別の意味で深刻な社会問題なんですよ。ご主人の認知症リスクが高まるのは、あなたも困りますよね!?
しかし、通常の勤務体制に戻れば、今後もご主人の睡眠負債は増えざるを得ません。ですから、むしろ「いまのうちに寝たいだけ寝て負債を少しでも減らしてもらおう」と考えてみたらいかかでしょう。

とはいえ、あなたが家事やコロナ対策で腰を下ろす時間もないのに、ご主人は何も手伝わず、スマゲーだなんだと勝手放題、挙句の果てにオンライン飲み会の準備まで頼んでくるとなれば、あなたがキレかかるのも当然です(笑)。

でもまあ、外で一生懸命に働く男というものはたいてい、家ではグータラで役立たないものなんですよ。まず、このことをよく理解してください。お金をしっかり稼ぎ、広い家を建て、家族サービスも万端怠りないなんて器用な夫は、昔のアメリカのホームドラマくらいにしか存在しません(笑)。
あなたにしてみると、今はやることがほとんどないんだから少しくらい手伝ってほしいと思うかもしれません。でもご主人からすれば、やることがあろうがなかろうが、家とは基本的にグータラする場所なんです。いや、グータラできるというほうが適切でしょうね。なぜなら、奥さんであるあなたがしっかりと家事を回してくれているからです。

こう言うと「自分が頑張っているから夫が何もしないというのは納得いかない」とあなたは思うかもしれません。しかし、仏教の縁起(因縁果報=原因にふさわしい結果がでる)という教えからいうと、これはある意味当然の結果なんですよ。たとえば「髪結いの亭主」という言葉があるように、稼ぎの良い奥さんの夫は働かない場合が多い。働かなくても生きていけるからです。あるいは大金持ちの家の放蕩息子が親の財産を食いつぶす。食いつぶせる財産があるからです。あなたの場合は、あなたがしっかりしているからご主人が何にもしないというわけですね(笑)。

ですから、試しに三日くらいすべての家事を放棄してみてください。案外ご主人がシャキッとして、家のことをやりだすかもしれませんよ。まあ、逆に家の中が滅茶苦茶になるかもしれませんが(笑)。そのあたりの展開がどうなるかは、お互いの性格をよく考えて実行に移されたほうがいいと思います。


夫を動かす唯一の秘訣! お願いは“やさしく、可愛らしく”

では、以上の話を踏まえたうえで、ご主人の協力を得るためのポイントをお教えしましょう。まず第一に大切なのは、”怒りの心で頼まない”ということです。「パパ、暇なんだから少しは手伝ってよ!!(怒)」と言うと、まずダメですね(笑)。こちらがイライラと怒りの心で言葉を吐くと、その反作用で「やんねーよ」と怒りの拒否が返ってくるだけです。
ではどうしたらいいか。それはズバリ”やさしく、可愛らしく、お願いする”ということです。「パパにこれ手伝ってもらうと助かるんだけどなぁ。お願いできる?」という感じですね。ご主人はあなたと結婚して子供をつくったくらいですから、基本的にあなたのことが大好きなわけです。ですから、あなたがやさしく、可愛らしく、ご主人を立ててお願いすれば、大抵のことはやってくれるんですね。

こういうアドバイスをすると、たまに「そんな可愛らしい言い方なんかできません!」という奥さんがいます。その場合は、申し訳ないんですが一人で家事を頑張るしかありません。可愛らしく頼むというやり方は、奥さんが家でグータラなご主人に手伝ってもらうための唯一にして最も有効な方法だということをご理解ください。

では、頑張って可愛らしく頼んだにも関わらず、ご主人が言うことを聞いてくれなかったらどうしたらいいのでしょうか。そのときも怒ってはいけません。そしてすぐに”外で頑張っている男は、たいてい家ではグータラで役に立たないものである”という原則を思い出してください。そして「ま、しょうがないか」とあっさり受け入れて家事を続けてください。そして次の日もまた可愛らしく頼んでみてください。これを繰り返すうちに、必ずご主人はあなたの頼みごとを聞いてくれるようになります。なぜなら、ご主人は基本的にあなたのことが大好きだからです。

 

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サティ〜ず

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仏教が大好きな二人による、ホッと家オリジナルユニット。

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