エッセー

ヤッシーのきまま見聞録⑪

私の名前はヤッシー。会社人生は終わった人ですが、第二の人生はこれから。会社の重しが取れた身軽さで見たこと、聞いたことをきまま(気まま、生まま)にお伝えします。きままなので、悪しからず不定期です。

「街歩きシリーズ1—人形町界隈」

今回からしばらくの間、「街歩きシリーズ」をお送りします。私は42年の長きにわたりビジネスマン生活を続けましたが、取引先のお客様を訪ねていろいろな街に出向きました。お客様との仕事が終わった後には極力、時間を作ってその街を散策するように心がけました。まずはその街、土地の守護神とも言える神社、仏閣があれば参拝し、「お許しを得たうえ?」で方々を訪ね歩きました。昼食時であれば流行っていそうな店に入ったり、穴場と思しき店を探したり、名物と言われる一品を買ったり。夕方から夜に差しかかっている時などはネオン街をうろついたり、居酒屋で一杯やったり・・・。
訪ねなくなってからだいぶ時間が経ってしまった街も多いので、場合によっては行っても様変わりで見当もつかないという事態になるかもしれませんが、今でも印象に残っている街を懐かしさとともに歩いてみました。第1回は人形町界隈です。

人形町界隈でまずお参りしたいのは水天宮でしょう。参拝に訪れた方も多いと思いますが、水天宮は東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目にあります。水天宮通りと新大橋通りの交差点のすぐ脇です。中央区のホームページによれば「蛎殻町」というのは、昔は漁師の小網の干し場で、牡蠣の殻が堆積した海浜であったことからついた地名らしいが定かではない、としています。

水天宮の総本宮は福岡県久留米市にあります。江戸時代、第2代藩主有馬忠頼公が1650年に尼御前大明神と尊称されていた水天宮に、城下の筑後川を望む土地を寄進し社殿を造営、代々の藩主が水天宮を敬神しました。1818年に第9代藩主有馬頼則公が参勤交代の折にも、江戸の街で水天宮をお参りできるように芝赤羽根橋の江戸上屋敷内に御分霊を勧請、青山を経て、1873年に現在の地に移転しました。
天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ)、安徳天皇、高倉平中宮(建礼門院、平徳子)、二位の尼(平時子)を祀っています。水天宮は水と子供を守護し安産、子授け、子育てなどについての厚い信仰を集めています。実は私も長男が授かった際には水天宮で安産祈願をしました。戌の日などは安産などを願う大勢の人で賑わっています。
2013年から江戸鎮座200年記念事業として社殿の建て替えを行いました。2016年4月8日から新社殿でのお参りができるようになりました。私も以前は時々参拝していましたが、新社殿には今回、初めてお参りできました。社殿は新しくとてもきれいになっていましたが、建っている位置などは以前と変わっていない気がしました。

人形町界隈でもう1ヵ所お参りしたいのが小網神社です。こちらは中央区日本橋小網町にあります。中央区のホームページでは「小網町」は徳川将軍に網を引いて観覧に供した漁師たちが、御肴御用を命ぜられ、白魚献上の特権を得て、この漁師たちが一丁目の街角に網を一張干しておく習慣から生じた地名ではないか、としています。
御祭神は倉稲魂神(うがのみたまのかみ お稲荷大神)、市杵島比賣神(いちきしまひめのかみ 弁財天)、福禄寿などです。小さめの神社ですが、強運厄除けのご利益があるということで人気があります。私が参拝した日も平日の午前中でしたが参拝する方が大勢いました。

水天宮、小網神社をお参りした後は人形町の街中をぶらり。「人形町」は江戸時代に多くの人形師が住んでいて人形を作り、売る店が並んでいたところからついた地名のようです。今では和菓子の「人形焼き」を作って売る店はあっても人形を作って売っている店は見当たりません。

私が人形町に行ったら必ず買うのが「鳥近(とりちか)」の「玉子焼」です。出汁の利いたちょっと甘目の味ですが、ずっしりと重く厚み、ボリュームがあり食べると幸せな気分になります。700円ぐらいで売っていた頃から買っていますが、現在は850円になっていました。

人形町界隈は安くておいしい食事処がいっぱいあります。小網神社の近くの「桃乳舎(とうにゅうしゃ)」は昭和レトロな雰囲気いっぱいの定食屋さんです。明治22年に牛乳屋さんとして創業し、ミルクホールなどもやっていたのでこのような店名になっているようです。現在の建物は昭和8年に建てられたそうです。ランチやハンバーグ定食が何と1コインの500円。カレーやハヤシライスは470円。4人掛けのテーブル席が12ほどありかなりの広さですが、11時の開店と同時に安くておいしい昼食を求めてビジネスマンなどが大勢押し寄せ、いっぱいになってしまいます。私が訪ねた日のランチはアジフライとメンチカツの定食。手作り感あふれる、安くておいしい昼食でした。

水天宮近くの「来々軒」は街中中華の名店です。カウンター席が10席ほど。4人掛けのボックス席が3テーブルの決して広くない店内ですが、こちらも11時の開店と同時に近隣のビジネスマンやタクシーの運転手などですぐに満席になってしまいます。店は新しくはありませんが中華の味は抜群です。「肉いためそば」はコクのあるスープが特徴でちょっと他店では味わえない逸品です。紹介してあげた友人がその味にはまり足しげく通っていました。私はこの肉いためそばも好きですが、一番のお気に入りは「ソースやきそば」です。麺が他店では食したことのない食感でソースの味との相性がとてもいいのです。最近ご無沙汰なので不確かですが、値段はどちらも760円でした。もちろんどの料理もうまいのですが、とにかくボリュームがすごいのでびっくりします。チャーハンの量などには圧倒されます。

人形町からは少し離れていますが日本橋浜町のドイツパンの店「タンネ」も人気があります。1階はドイツパンの販売とカフェ、2階は全面カフェです。店内でもおいしいドイツパンやソーセージなどを味わえます。

水天宮のある交差点のはす向かいの「三原堂本店」はおいしい和洋菓子の店です。以前は2階が喫茶店になっており、珈琲や日本茶で同店の和洋菓子を水天宮の後姿を眺めながら味わえましたが、残念ながら喫茶店は閉店してしまいました。1階の店で売っている豆大福やどらやき、塩せんべいなどが有名ですが、ぜひ味わいたいのは、伝統ある日本橋の町名をつけた「日本橋めぐり」の和菓子です。桃山まんじゅうの「人形町」、東まんじゅうの「蛎殻町」、春日まんじゅうの「小網町」、チョコまんじゅうの「芳町」、くりまんじゅうの「室町」の5種類。日本橋の各町をめぐった後で、街歩きの仕上げとして味わってみるのも趣があります。


追伸:ヤッシーが本の第2弾を出しました。「働く方・働く場改革 人と職場を活性化する笑談力・考動力 〜笑いをうむ19(いっきゅう)のワザ〜」(ビジネス教育出版社)。ご購読いただければ「笑いのコミュニケーション」と「考えて動く力」を磨くための一助となるはずです。

ヤッシー

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