いつもの縁がわを飛び出して、ホッと家ファミリーが「会いたい!」人物を訪ねる『CLOSE UP 縁とも』が始まります。第一回は、ホッと家のママが、子育て支援のさまざまな施設を運営する(有)ぎんが邑 小田原代表の川本桂子さんに会いに行きました。
“お母さんが助かる”ことを一つずつ
「お待たせしました!」
初夏の日差しが降り注ぐ中、川本桂子さんは小さな子どもたちと息をはずませながら、キラッキラの笑顔で現れました。「地域の方が畑を貸してくださっていて、子どもたちと行ってきたんです」。
ここは、小田原駅から徒歩5分ほどの高台にある「ぎんがむら保育園」。自然に触れながら、子どもたちの豊かな心や自主性を育む保育園として、地域にも溶け込んでいるようです。
2015年に施行された「子ども・子育て支援法」の中で、対象を全国の待機児童数の約8割を占めるといわれる0〜2歳児に限定し、定員を19名とする小規模保育施設は、「小規模認可保育所」として国の認可事業となりました。
川本さんは、この保育園のほかにも、一時保育施設や子育て支援センター、親子のためのコミュニティカフェなど数々の施設や親子イベントを運営する(有)ぎんが邑の小田原代表・取締役を務めています。そして同時に、毎日のように子どもたちやそのお母さんたちと触れ合う、現役の保育士でもあるのです。
川本さんの子育て支援の出発点は、家庭保育園「ママちゃんHOUSE」を始めたことだったそう。「私自身も3人の息子を育てる中で、“ちょっと子供を預けて自分の時間を作れたら、もっと子育てがしやすくなるだろうな。こんな場所があったら、お母さんたちが助かるだろうな”、と思うことがあって。それを一つずつ形にしていったら、自然と今の形になったんです」と川本さん。
私を含め、子育てママの多くが望むことだけれど、それを実際に形にしていく川本さんの実行力って、すごい。
共に育ちあう環境が未来をつくる
今では小田原市から委託を受けて、市内3つの子育て支援センターを任されるほどになったぎんがむら。
「マーケティングとか狙いとかではないし、手広くやろうと思っているわけでもなくて。ただ、“これがあったら絶対みんな嬉しいよね!”という思いで進むと、必ずそこで働きたいと言うお母さんが集まってきて、輪ができて、縁が広がってきた。どんなに努力しても、ご縁がなければ実現はしません。本当に、“ありがたい”の一言です」
そんな川本さんの言葉には、ビジネスの香りはまったくしなくて。ぎんがむらの保育施設にわが子を預けた親たちが、今度は自分が支援する側にと集まってくる…。子供を育てやすい環境とともに、親子の輪や、雇用までも広がるという好循環は、時には壁にぶつかり、仲間と試行錯誤を重ねる中で育まれたものなのでしょう。
「生身の人間と接するのだから、保育の仕事に終わりはないし、完成もない。いろいろあっても、“親子に寄り添いたい”という信念は、初めからずっとブレません」と川本さん。「人が喜ぶことをできるのが自分の幸せ」と話す優しい笑顔と、気さくで柔らかい物腰の奥に、その信念が大樹となって葉を拡げているイメージが私には見えました。
「認められ、愛された人は強くなれるし、社会の役に立てる人間になれる。家庭でうまく愛情を伝えあえていない親子も、地域で支え、見守ってくれる人がいたら、きっと心強いですよね。一緒に育ちあう環境が未来をつくるのだと思うから、これからも地域の中で、楽しい子育ての輪が広がるかかわりをする役目として歩んでいきたいです」
小田原の地で、親子と地域がつながる子育ての縁が、さらに広がっていきそうです!
ホッと家のママ
*プロフィール
川本桂子さん
(有)ぎんが邑 小田原代表 取締役。小田原で、一時保育施設や小規模認可保育園、親子のためのコミュニティカフェ、子育て支援センターなど、数々の施設を運営している。
〈ぎんがむら小田原〉
http://www.gingamura.com/