「ホッと家ファミリーの『ほっとけないお話』」は、ホッと家ファミリー(ホッと家の住人たち)が、今、気になっている事、皆さんにお知らせしたい事、応援したい人たちなどをテーマにお伝えするコーナーです。
いい映画は、後々まで余韻を残す。できれば恍惚感が一番いい。でも、どうしようもない苦しみや悲しみ、やり場のない憤りを残してくれる映画も、また大事だなと思うのです。
こんにちは。ほっと家ファミリー最年少、ほっと家坊主です。
この前、新宿に映画を見に行ってきまして、なんともいい映画でしたので紹介できればと思います。いい映画は余韻を残す。ただ、この映画は後者の方です。
作品名は『福島は語る』。
「東日本大震災」から8年が経ち、時間の経過は、どんどん自分の中から「東日本の復興」、そして「原発事故」を風化させていました。そんな私に、福島の市井の人々の鬱積した声なき声を、土井俊邦監督が一つひとつ拾い上げ、届けてくれました。
内容は、とてもシンプルなドキュメンタリー。震災によって人生が大きく変わった14人の人びとの証言が収められています。シンプル・イズ・ベストを体現したような映画で、BGMもナレーションも無し。ただ、淡々と語られる一人ひとりの言葉(メッセージ)の重さに、揺さぶられっぱなしの2時間50分でした。
風評被害に苦しむ農家さん。子どものために県外移住するも、福島に残った夫と意思疎通が図れなくなったお母さん。避難先の小学校で寂しい思いをする子供たちに寄り添う教師などなど…。
証言の合間に流れる福島の四季のうつろいが美しくもあります。が、その美しい風景のなかに、見えない放射能の脅威がちらついて、やり場のない悲しさがこみ上げてきます。
8年前、テレビに映る爆発する原発の映像を前に、「これから福島は、どうなっていくのか」とただ立ちすくんでいた自分も、時間が経つと何事もなかったように日々の生活に戻っていきました。14人の声は、風化しそうになっていた福島の「今」を私の目の前に突きつけてくれました。
何とも消化しきれない苦みを抱えたまま劇場を後に、ネオンきらめく新宿の雑踏を帰りました。
全国の劇場で、随時公開されています。お時間と場所が合えば、是非ご覧になってください。