私の名前はヤッシー。会社人生は終わった人ですが、第二の人生はこれから。会社の重しが取れた身軽さで見たこと、聞いたことなどをきまま(気まま、生まま)にお伝えします。きままなので、悪しからず不定期です。
「コジロー君との思い出1−出会い編」
わが家の愛犬だったコジロー君が旅立ってから今年の3月31日で丸7年になります。この時期になるとコジロー君とのハラハラ、ドキドキしながらも楽しく笑いに満ちていた約15年にわたった日々が懐かしく思い出されます。
コジロー君がわが家に来たのは生後3〜4ヶ月ぐらいの子犬の頃です。「来た」と言えば聞こえがいいのですが、実は私が仕事先との宴席を終えて自宅に戻る途中にたまたま遭遇し、酔った勢いに任せて連れて帰ってしまったのです。そう、コジロー君は紐で電信柱につながれて捨てられていたのです。
その日は夏の暑い日でお酒も飲んで喉が渇いていた私は、自販機で飲み物を買うためにいつもと違う道を通りました。すると自販機の向かい側から柴犬の雑種のような子犬がキャンキャンと鳴き叫んでいたのです。
「いったいいつ頃からこんな大声で鳴き叫んでいるのか・・・」。自宅からはかなり離れていましたが明らかに近所迷惑です。中学生ぐらいの男の子が近寄ってきて「うるさくて何か気になりますよね」と興味津々に話しかけてきました。
「いつも通らない道で巡り会ったのも何かのご縁か」ととりあえずわが家に連れて帰ることにしました。その男の子はどこかホッとした様子でわれわれを見送っていました。
この酔いに任せた暴挙に当然のことながらまず家内からチェックが入りました。というのもわが家ではすでにチャッピーという女の子のヨークシャテリアを室内で飼っていたのです。そこにもう一匹の犬が加われば、散歩から餌やり、予防接種など世話が倍になります。いえ倍どころではありません。室内犬よりはるかに室外犬のほうが手がかかるはずです。休みの日は私が面倒を見るにしても、私が会社に行ってしまう平日は家内の負担になることは目に見えています。
「いやぁ、あまりにもキャンキャンと鳴き叫んで近所迷惑そうだったからとりあえず保護してきただけだよ。もらってくれる人を会社の同僚で探してみるから」ということで、それまでの短期滞在のお約束でわが家の居候がとりあえず許されました。そんなこちらの苦労も知らず、コジロー君は助けてもらえた嬉しさに玄関先で大はしゃぎです。家の中からは先輩のチャッピーが「こいつ何者だ!」という厳しい目で見ていました。
翌日から私のコジロー君の貰い手探しが始まりました。会社の同僚に「柴犬の雑種で可愛い子犬がいるけど、どう。引き取らない?」。室外で犬を飼えそうな何人かに声をかけて検討してもらいました。結果は皆そろって子供さんたちは賛成、奥さんが反対という状況です。
「では奥さんが賛成してくれたらよろしく!」となりましたがあまり期待はできません。わが家と同様に家庭の主婦は毎日家事に追われていて手一杯で、それ以上の負担増は望みません。まして共働きならなおさらです。
「たぶんそういう結果になるな」と思っていましたが、結局貰い手はいませんでした。私も「貰い手がいなければ自分の家で飼ってもいいかな」と心の片隅で思っていたので、それほど積極的に声かけをしませんでした。
ということで、なし崩し的にコジロー君はわが家の一員となってしまいました。“発見”当初は愛嬌のある顔立ちでしたが、耳は折れていてキリッとしておらず、背中の一部が皮膚病かなにかで円形脱毛症のように禿げている状態でした。
たぶんそれらが原因で捨てられてしまったのでしょう。動物病院に連れていき皮膚も治療し、鶏の砂肝など栄養のある餌を与えているうちに、やがて毛並みはふさふさとして耳もキリッと立って、見違えるような見栄えのよい立派な成犬に育っていきました。
「コジロー」と名付けたのは兄の家が同じ頃に「内蔵助」という名前の柴犬を飼っていて、何か対抗してネーミングしたような気がします。漢字名だと対抗意識丸出しなので、せめて片仮名でコジローにしました。
子犬の頃のコジロー君はとにかくやんちゃ坊主。庭でつないで飼っていましたが、ちょっと気を許してつないだ紐を外そうものなら垣根の隙間を通り抜けて大脱走です。結構遠くまで逃走し探すのに苦労したことが何度もありました。成長期の歯痒さ解消からなのか庭木もずいぶんとかじられました。
チャッピーとは決して仲良しではありませんでした。家の内と外なので取っ組み合いの喧嘩になることはありませんでしたが、家の中からコジロー君におやつなどを与えると、チャッピーが先輩風をふかして威嚇していました。コジローのほうは、われ関せずでおやつを夢中で拾いまくっていました。
やんちゃ坊主に手を焼きながらも、家内は散歩などコジロー君の面倒をよく見てくれました。コジロー君とチャッピーという愛犬に囲まれた生活は、仕事や会社の人間関係などで溜まったストレス解消に大いに役立ちました。愛犬と交流することで心が癒されました。
あの日、宴席の帰りにたまたま遠回りして帰っていなければコジロー君との出会いはなかったはずです。動物とではありますが、何かその時、その場で巡り会う不思議さ、縁を感じざるを得ませんでした。
追伸:ヤッシーが本の第2弾を出しました。「働く方・働く場改革 人と職場を活性化する笑談力・考動力 〜笑いをうむ19(いっきゅう)のワザ〜」(ビジネス教育出版社)。ご購読いただければ「笑いのコミュニケーション」と「考えて動く力」を磨くための一助となるはずです。