【四諦の法門は最強のフレームワーク】
フレームワークとはビジネスで活用される、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組みのことです。ほとけさまの教えは、いつでもどこでも誰にでも当てはまります。当然、ビジネスにも活用できると考えています。
例えば、ほとけさまの教えには、人々の悩みの解決の方法として、「四諦(したい)の法門」があります。詳しくは「生き方つながるコミュニティ こころーたす」に解説が載っていますのでそちらをご参照ください。http://www.cocolotus.com/item/246
その解説を見てみると、
四諦の法門とは、私たちが日常の生活において直面する苦しみや悩みを根本的に解決して、絶対的安穏の境地を得るプロセスと実践法を示す法門で、『四諦』とは「苦諦」「集諦」「滅諦」「道諦」の四つの悟りです。「諦」とは、諦らかにする、はっきりと見きわめるという意味です。
とあります。それぞれを簡単に説明すると…
「苦諦(くたい)」…苦を苦として認識し、しっかりと捉える
「集諦(しったい)」…苦の根本的な原因を探求し、はっきりと見極める
「滅諦(めったい)」…様々な苦悩が消滅した境地を指す
「道諦(どうたい)」…苦しみの原因を取り除くために自分の心の持ち方を変えていく行動をする
非常に合理的な課題解決(苦の解決)の考え方で、多分、仏教をかじったことのあるビジネスマンであれば日常的にこの法門を取り入れて問題解決をしているのではないでしょうか。
「苦諦」で問題点を洗い出し、課題を設定。「集諦」で問題を分析し、その根本の原因をつきとめ、「滅諦」であるべき姿をビジョンとして捉え、「道諦」であるべき姿と現状のギャップを埋める。といったプロセスです。
中でも重要なのは、問題の分析と根本原因の究明です。
【根本原因究明のための「なぜなぜ分析」】
ビジネスの現場でよく用いられる原因究明の方法として「なぜなぜ分析」というのがあります。トヨタの元副社長の大野耐一氏が、その著書「トヨタ生産方式」の中で
一つの事象に対して、五回の「なぜ」をぶつけてみたことはあるだろうか。言うはやさしいが、行なうはむずかしいことである。
五回の「なぜ」を自問自答することによって、ものごとの因果関係とか、その裏にひそむ本当の原因を突きとめることができる。
と語っています。
トヨタでは真の原因を「真因」と呼んでいるそうですが、「問題が発生した原因は何故か」を5回繰り返すことでその「真因」を特定し、それを解決することを目指しているそうです。その例として、工場の機械が動かなくなった時のことを説明しています。
(1)なぜ機械が止まったのか?
オーバーロードが掛かってヒューズがきれたからだ→通常はここで、ヒューズを交換して終わってしまいます。しかしオーバーロードの根本原因を解決しない限り、再び機械が止まってしまうでしょう。
(2)なぜオーバーロードが掛かったか?
軸受け部の潤滑が十分でないからだ
(3)なぜ十分に潤滑しないのか
潤滑ポンプが十分組み上げていないからだ
(4)なぜ十分組み上げないのか
ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ
(5)なぜ摩耗したのか
ろ過器が付いていないので切粉が入ったからだトヨタ生産方式より引用
このように、何故を5回繰り返すことで、根本原因を特定し、潤滑ポンプにろ過器を取り付け、根本問題を解決することができたそうです。
四諦の法門をビジネスで活かすために、「集諦」の段階で、この「何故を5回繰り返す」というのは非常に有効な考え方になるのではないかと思います。